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札幌高等裁判所 平成6年(行コ)3号 判決 1997年5月07日

控訴人(原告) 石崎勝美 外四名

被控訴人(被告) 幌延町長 外一名

主文

本件各控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人幌延町長が、平成元年一一月一三日、平成元年度幌延町一般会計補正予算の執行としてした貯蔵工学センター立地推進道北議員協議会に対する活動事業費補助金三三〇万円の交付決定を取り消す。

3  被控訴人幌延町長は、貯蔵工学センター立地推進道北議員協議会に対し、幌延町貯蔵工学センター立地推進活動事業補助金交付要綱に基づく補助金の交付決定及びこれに基づく補助金の支出命令を発してはならない。

4  被控訴人上山利勝は、幌延町に対し、三三〇万円及びこれに対する平成元年一一月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

5  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文同旨

第二事案の概要

事案の概要は、原判決一〇枚目表七行目の「議決」を「本件議決」と、同九行目の「本件補助金決定」を「本件補助金交付決定」と各改め、同一二枚目裏九行目の「言論の市場において」を削り、同二二枚目表七行目の「活動を」を「活動が」と改めるほか、原判決の事実及び理由中の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三証拠関係<省略>

第四当裁判所の判断

一  控訴人らの被控訴人幌延町長に対する補助金交付決定取消請求にかかる訴えについて

控訴人らは、被控訴人幌延町長に対し、地自法二四二条の二第一項二号に基づき、同被控訴人が平成元年一一月一三日にした本件補助金交付決定の取消しを求めているが、当裁判所も、本件補助金交付決定は議員協の資金の給付の申込みに対する承諾の意思表示に止まり、実質的にも形式的にも行政処分性を有しないものと解すべきであるから、控訴人らの被控訴人幌延町長に対する本件補助金交付決定の取消しを求める訴えは不適法であり、却下すべきものと判断する。その理由は、原判決の事実及び理由中の「第三 争点に対する判断」中の「一 争点1について」(原判決四〇枚目表八行目冒頭から同四一枚目裏一行目末尾まで)に示されているとおりであるから、これを引用する。

二  控訴人らの被控訴人幌延町長に対するその余の請求及び被控訴人上山に対する請求について

控訴人らは、被控訴人幌延町長に対し、地自法二四二条の二第一項一号に基づき、議員協に対する補助金交付要綱に基づく補助金の交付決定及びこれに基づく補助金の支出命令の差止めを求め、また、被控訴人上山に対し、同項四号に基づき、幌延町に代位して三三〇万円の損害賠償(本件補助金三三〇万円とその遅延損害金の支払)を求めているが、当裁判所も、本件補助金交付決定は被控訴人幌延町長が地自法二三二条の二の「その公益上必要がある場合」に当たると判断してした議員協に対する本件補助金の交付決定であって、地自法二三二条の二、二〇四条の二に違反する違法なものとはいえず、適法であると判断されるから、控訴人らの被控訴人らに対する右各請求はその余の点について検討するまでもなく、いずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決の事実及び理由中の「第三 争点に対する判断」中の「二 争点2について」(原判決四一枚目裏二行目冒頭から同八九枚目裏四行目末尾まで)に示されているとおりであるから、これを引用する。当審で提出された証拠も、右認定判断を左右するものではない。

1  原判決四一枚目裏九行目から一〇行目にかけての「内陸部にあるため」を「その中心地が内陸部にあり」と改め、同四九枚目表八行目の「31、」の次に「32、」を、同五一枚目裏一行目の「候補者一名」の次に「(一審原告川上)」を、同一〇行目の「乙一」の次に「、一審原告川上本人(原審)」を各加え、同五二枚目表二行目の「同月三月三日」を「同年三月三日」と改め、同五四枚目表一行目の「58、」を削り、同五八枚目裏五行目の「四の1ないし4」の次に「、証人小島博(原審)」を、同五九枚目表七行目の「可決された」の次に「(甲一、四、証人小島博(原審))」を各加える。

2  同六六枚目表九行目の「場合には」を「場合においては」と、同六七枚目表一行目の「当該普通地方公共団体」を「当該地方公共団体」と、同五行目の「公益上の」から同六行目の「場合」までを「公益上の必要性があるとの判断に裁量権の逸脱又は濫用があると認められる場合」と、同裏七行目の「公益性」を「公益上の必要性」と、同六九枚目裏三行目の「前記第二、2、(一)、(3)」を「前記第二、二、2、(一)、(3)」と各改める。

3  同七四枚目表七行目の「昭和六二年四月二四日」を「昭和六二年四月一二日」と、同七五枚目表八行目の「後者は」から同九行目の「生じ得ない」までを「後者は、仮に手法として不当であるとの見解が成り立ちうるとしても、そのことの故に本件補助金交付決定が違法となるということはできない」と、同裏三行目の「右見解を」を「右見解に添った」と各改め、同九行目の「地自法」の次に「九六条、」を加え、同七七枚目裏六行目の「問題すること」を「問題にすること」と、同七八枚目表六行目、同七九枚目表三行目、同八〇枚目裏一行目及び同一〇行目の各「隣接市町村」をそれぞれ「周辺市町村」と、同八六枚目表五行目の「七〇パーセント」を「八〇パーセント」と各改める。

4  同八八枚目裏一行目から二行目にかけての「昭和五九年四月ころ」を「遅くとも昭和六一年一二月ころ」と、同八行目の「あること」から同一〇行目の「認められず」までを次のとおり各改める。

「あることに加えて、本件補助金の交付を受けた議員協は、いわゆる道北地域において過疎を脱却し将来の展望を切り開くためには、幌延町に国家的プロジェクトとしての工学センターを誘致することが現実性の高い方策であると考え、国に対して工学センターを誘致する姿勢を示すとともに、工学センターの立地計画の実現過程においても、議員協が先導的役割を果たし、道北地域発展の施策に支援を働きかけていくという趣意のもとに設立された法人格なき社団であり、規約には、工学センターの早期実現を推進することとこれに関連して各市町村の活性化を図ることを目的として掲げており、幌延町を含む八市町村の各議会議員のうち工学センターの立地推進を図ろうとする立場の議員六三名をもって構成員とするものであるが、現実に行っている活動に徴する限り、札幌市や東京都における関係行政庁や北海道議会、あるいは幌延町の周辺市町村の首長や議会代表に対し右施設の立地推進のための陳情活動を行うことをその具体的かつ主要な存在目的とする団体であって、他の地方公共団体における民意の形成過程に介入することを目的とする団体であるとはいえないこと、また、本件補助金交付決定が、他の諸規範に違反ないし抵触するものとは認められないことなどを総合勘案すると、地方公共団体の財政秩序を乱すような恣意的な補助金の交付を規制しようとする地自法二三二条の二の規定の趣旨にかんがみても、被控訴人上山町長が本件補助金交付決定の際に行った公益上の必要性があるとの判断に裁量権の逸脱又は濫用があったものと認めることはできず」

第五よって、原判決は相当であって、本件各控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 竹原俊一 竹江禎子 滝澤雄次)

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